以前東京に住んでいたときの話。
2007年前後かな。仕事で東京に住んでいました。
東京って不思議な場所で、道行く人はサバサバしてると言うか、自分のことでいっぱいいっぱいで余裕がないと言うか。
駅の階段なんかそうだけど、これだけたくさんの人がいるのに後ろ姿が暗く見えるんですよね。
住んでいた最寄りのスーパーなんかもそうだったけど、店員さんが一生懸命レジ打つの。めちゃくちゃ早いスピードで。でもねー勢いが怖いと言うか、伝わるかなーこの感じ😅
地方から出てきたから、「東京ってこんな感じかー」なんてよく思ってた。
でも不思議なことに、地方出身同士でなんとなく盛り上がることもあった。
近くのセブンイレブンで、nanacoが始まったばかりだったかなー。店長さんが案内してくれたから申し込んでいたら、「新潟なんだねー」なんて話してくれて、それから行くたびにちょっと話すようになったり
近くのお気に入りの居酒屋で奥さんとカウンターで飲んでた時も、店員さんと話していたら「おれも地元新潟なんだよ!」なんて、隣で飲んでたおっちゃんらが話してきてくれたり
そー言うのが少なからずあって楽しかった。俺はどちらかと言うと陰キャだから、進んで輪の中に飛び込めないので、それくらいの出会いちょうどよかった。
そんな中、連休前日に仕事が終わってから新潟に帰る日があった。
仕事が終わってから一度帰宅して、荷物をもってタクシーで中野駅へ。奥さんは先に帰ってたから一人でね。
タクシーで中野駅まで約15分ほど
ドライバーさんと話していたら、その方も地方の出だった。なかなか年配の方で苦労した話などもしてくれた。俺もいろいろ話してたけど、ドライバーさんの話がありがたく、心に染みた。
話が楽しかったし、そもそも遠い距離ではなかったので
中野駅にはあっという間に到着してしまった。
ドライバーさんは料金の端数をおまけしてくれた。
「これくらい気にしないで、お兄さんも頑張ってね」
たいした金額ではないが、笑顔で送ってくれた。
「おっちゃん、ありがとね!」笑顔で頭を下げてタクシーを降りたとき
「やべー、タクシーに携帯忘れた」
気付いた俺は慌てていた。タクシーは動き出していたからだ。
急いで動き出したタクシーの前方へ出て、手を振った。
俺に気付いたおっちゃんは
笑顔で俺に手を振ってくれた
そして通り過ぎた。
「違う、そうじゃない!」
荷物を持ったまま俺は走った
どうにか信号で停まってたタクシーに追い付き、無事携帯は確保できた。
東京も捨てたもんじゃない